先日、自宅で料理した時に「鯖の南蛮漬け」を作ったんですよ。
たくさんの薬味を乗せて。
薬味の深掘りになった良い機会なので記事に残します。
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鯖の南蛮漬けにおける薬味の役割

薬味ってこの歳になってやっと料理の中での役割がわかってくるというか。
「ミョウガ」なんてその最たるもので、数年前ではスーパーで見向きもしなかった食材だったんです。
でもそのときなぜか手に取ってみて、千切りして使ったんですがこれが非常に具合がいい笑
「ショウガ」も千切り(針生姜)にして水にさらして乗せましたがこれまたいい!
「新玉ねぎ」は酢に数分漬けるだけで辛みが取れるので最高!
という感じで【薬味】に目覚めたわけです。
ここで【薬味】を深掘りしてみようと思い、味覚や食感などの分析を軽く行ってみました。
薬味ってなんなのでしょう?料理においてどんな役割?いろんな疑問が浮かんできます。
自分が越えられなかった「ミョウガ」の壁を、年齢の後押しで越えちゃったのです。
洋食にはない薬味
そもそも自分のテリトリーである洋食の分野に【薬味】の概念はなく、多分中華料理からの流れなんだろうと朧げに推測されますが
とにかく洋食で薬味同様な食材といえば「ハーブ・スパイス」の類でしょう。
しかし、この鯖の南蛮漬けにおける薬味が「ハーブ・スパイス」に置き換わっても違和感しかありません。
薬味はぼりぼり食べてもいける、たくさん口に放り込んでもいける食材なのです。
ということは
- ハーブ・スパイスほど強くない香り
- 食材としても成り立っている
ですね。なるほど。
実際、鯖の南蛮漬けを食べてみて
何度も何度も数ある薬味を、自分の好みの割合にして鯖に乗っけて食べる。
その行為自体も面白い食体験というか、料理に対するインタラクションなんですね。
料理対して「ポジティブに」「積極的に」関わることで、『味わうぞ!』というスイッチが入り、
より感覚が舌や口中、脳に集中します。
作り手からすれば最高のシチュエーションなわけです。
洋食にも柔らかいテイストのハーブ類はありますが、総じて強めの香りを持っています。
ヨーロッパの人種は我々日本人と比べて体臭もあり、古くから香りの文化もあったので
料理に香りがつくということは良いように捉えられてきたという歴史的側面もありますね。
逆に私たちが好む香りは
- それほど強くない
- やんわり
- ほのかに
このように形容できるのではないでしょうか。
強い香水の香りを発している人を敬遠しがちですものね。
薬味の準備
- 新玉ねぎは繊維に沿ってカットし酢につけておく
- ミョウガ、ショウガは細い千切りにし水にさらしておく
南蛮酢
- 濃口醤油60g
- みりん少々
- 砂糖15g
- 水180
- これらを沸かしてから酢80g+レモン入れる
鯖とナス
- 三枚おろしして骨抜きした鯖を一口大にカットし塩、強力粉つける
- ナスは輪切り、塩して切り口を脱水
- 鯖とナスを焼いて南蛮酢につける
お好みでニンニクや唐辛子をどうぞ。常備菜にも向いてますね。
自分なりのカツオのたたき

というわけで、「薬味に目覚めた記念」として自分の料理に反映したいと策を練っておりましたところ
運よくコース予約が入りまして、いよいよ試作開始となったわけです。
問題は「薬味をどう使用するか」なのですが、洋食でのハーブの使用法の進化版みたいな感じはちょっと違うなと思っていたので
やはり私たちに根付いている薬味を使って自分なりの料理表現をしてみようと思いました。
ざっくり端折りますが、、
薬味シートを作って食材を覆うスタイルに決定
気温も上がってきて、見た目にも涼しげになりますしね。
薬味ゼリーシート

というわけで、大葉は葉脈を切り香りが出やすいようにします。
低温からじっくり温度を上げて香りを抽出します。
(水と一緒に真空包装機で香りを移すやり方も試しましたが、こちらの方が出来上がり状態が良かったです)
あとは塩やホワイトバルサミコで調味して、寒天でシートにします。
そのときショウガとミョウガを一緒にシートに入れ固めてしまいます。
カツオのたたきの仕上げ
カツオは皮目をバーナーで強めに炙って、マスタードを塗りベカフィーコ用のパン粉を密着させクリスピー感と味の補強をします。
器に温めたトマトソース、新玉ねぎのピクルスを置きカツオを重ねます。
上からゼリーシートを被せ、ニンニク風味のグレープシードオイルを数滴垂らして完成です。
ここからは余談ですが
器によってはゼリーが蓋がわりになって空洞ができるんですよね。
そこに燻煙を仕込んだりするといいかも!その燻煙が黒文字(河内長野の爪楊枝の原料木)ならさらに完成度は高くなりますね。
いや〜料理って本当にいいもんですね!
ではまた。